Q:前回のお話で「自分の立場を知ることが大事だ」ということでしたが、塾ではその辺りはどのように指導されているんですか?
A:先生と生徒の「立場の違い」をハッキリさせています。
私は元々生徒と楽しくするのが好きなんですが、一線を超えないことですね。
要は友達にならない。なあなあの馴れ合いにはならないことです。
Q:なんか新鮮な意見です。今はその逆で、生徒と友達になりたがってる先生が多い印象です。また、そういう先生が親しみやすくて人気がありますよね。
A:それはその先生の自由ですけどね。
でもやっぱり生徒と友達になってしまったら教育はできないですよ。
勉強を教えるくらいなら友達先生でもできますよ。
ただし勉強を教えるって、教育の表面上の一部分でしょ。
Q:生徒と「なあなあの馴れ合いにならない」ということで、具体的には友達先生とどんな指導の違いがありますか?
A:普段楽しく会話している生徒でも、例えばその生徒が遅刻するとしますよね。
悪びれた様子もなく、遅刻したことを謝りもしなかったら、叱ります。
Q:普段仲良くされていてもですか?
A:当然です。
仲良くって友達同士の仲良しじゃないですから。
あとは当然ですけど、敬語で話させるとか。
Q:先生と生徒のケジメをしっかりつけられてるんですね。
A:まあそういうことです。
それで、これが教育の根本だってことを言いたいんですよ。
自分で言ったらダメですけど「実学中の実学」だと思います。
Q:えっどういうことですか?
A:塾の生徒は、親とも友達とも違う今まで会った人とは違う「塾の先生」という異質な存在と出会うわけじゃないですか。
きちんと挨拶しないといけない。
敬語で話さないといけない。
ある意味自分で自分を正さないといけない存在なんですよ。
そうしないと叱られるから。
Q:そういう大人って今いませんもんね。
A:それで小・中学生の頃にこういう環境を経験した子供は、例えば高校生になってバイトした時に、店長さんにどういう風に接したらいいか分かりますよ。
Q:「大石先生の時のように接したらいいのかな」って思えますね。
A:今、上司を上司とも思わない部下が多いらしいんですよ。
「今の新人は上司も取引先もみんな友達だと思ってる」って(笑)
そんな20歳を超えた人間を教育し直すって大変でしょ。
Q:頭が痛くなりそうですね。でも、それも上司=大石先生で対応できそうですね。
A:それが実学中の実学って言った意味です。
そんなこと、もう社会人になったら教えられない土台の土台の部分じゃないですか。
それを小・中学生のうちに経験するのがどれほど大切かってことです。
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