個性教育の光と影 ~窓ぎわのトットちゃん~

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

新年一発目は、映画で教育を語るの第9弾で、今上映中の『窓ぎわのトットちゃん』です。


戦後最大のベストセラー

『窓ぎわのトットちゃん』は、黒柳徹子が幼少期に体験した「自由教育」をテーマにした映画です。

原作は戦後最大のベストセラーとされ、我が家にも一冊ありました。
(私は読んでいませんが)

世間の評価が「かなり高い」映画で、私もそこそこ楽しめましたが・・・どうしても好きになれませんでした (-ω-)/

この映画でみんなが絶賛する個性教育は、子供を「社会で生きにくくした面」も強かったと思います。

そして今、日本に定着しつつある「自由教育」は、本来の厳しさを抜き去った、かなり「アンバランス」な自由教育なのではないでしょうか。


理想の学校!?

目黒区自由が丘にあった私立の小学校(&幼稚園)「トモエ学園」が、この映画の舞台です。

戦前から戦時中のあの時代に、徹底した「個性尊重」の教育を行った「理想の学校」だと絶賛される学校です。

しかし、どんな教育にも「両面」があり、個性教育の「負の面」を見ることも大事でしょう。

「個性教育の負の面」とは、学校(家庭)が子供の個性を尊重して、子供の個性に合わせすぎるほど、子供は社会で生きづらくなります。

なぜなら、社会は学校ほど個性を尊重したり、個性に合わせてくれないからです。
戦前なら、尚更だったでしょう。

これは「今」にも通じる話で、学校や家庭で、あまりにも社会の現実とかけ離れた「子供に優しい教育」を行うと、子供は社会を「めちゃくちゃ不合理で厳しいもの」だと感じてしまいます。


人間的な自由か、動物の自由か

イギリスのパブリックスクールを描いた「自由と規律」という本があります。

エリート教育としては史上最も成功したとされる「ジェントルマン教育」の現場を描いた本です。

自由と名誉を重んじるジェントルマンたちは、一体どのようにして生み出されたのか?

その教育現場は・・・
・途轍もない鍛錬
・途轍もない規律
・途轍もない学習量


お手軽な自由教育

エリート教育と大衆教育の違いはありますが、日本の自由教育は、あまりにも「お手軽すぎる」のではと思います。

一方の自由が「努力」して「獲得」するものなのに対し、もう一方は「生まれつき備わっているもの」に価値を置いています。

一方が「膨大の読書と思索の上に」自由な意見を述べるのに対し、もう一方の自由な意見は・・・。

一方を規律に根差した「人間的で価値の高い自由」とすれば、もう一方は本能に根差した「動物的で価値の低い自由」とも言えそうです。

自由教育の「自由」にも、いろいろな「自由」が混在しているのです。


今で言えば、鍛錬教育

私は日本的な自由教育の風潮は嫌いですが、『窓ぎわのトットちゃん』のモデルとなったトモエ学園は勇気があると思います。

なぜなら、「戦時中に」自由教育を実践したからです。
教育の内容は別にして、
周りに批判されながらも、信念を通した点は共感します。

今、自由教育をやったら評価されるので、勇気なんかいりませんよね?

戦時中のトモエ学園と同じ価値のある勇気は、今の時代では、「子供を鍛錬する教育」を実践することでしょう。

それにしても、映画を観た後でも、黒柳徹子には興味を持てない!(笑)

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