~あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら~

 

映画で教育を語るの第10弾です。

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』は、現代の女子高生が戦時中の日本にタイムトリップした恋愛映画です。


あらすじ

主人公の女子高生のお父さんが、子供を助けて亡くなった。


主人公は、そんな父親を恨んでいる。
他人の子を助けて、自分は死んで、妻と子供に苦労をかけさせて、「何が英雄か」と。

そんな主人公が、ある日突然、タイムトリップをする。
戦争末期、昭和20年6月の鹿児島。

他人のために、自分の欲を我慢する人々。
陸軍の御用食堂に、住み込みで働かせてもらう主人公。
そこで出会った特攻隊員の一人と恋に落ちた ー。

Q:インタビュアー
A:大石


Q:『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』を観たそうですが、どうでしたか?

A:人がいっぱいでした!
満員って、佐賀の映画館で自分は初めてでしたね(笑)

Q:内容の方は?
「すごく泣ける映画」として評判になってますよね。

A:・・・。

Q:大石先生には、やはり・・・合いませんでしたか?

A:はい!今の時代に「流行る映画」ってのがどういうものか。
腹の底から分かった気がします(笑)

Q:ほー、どういうことですか?

A:昔の人が「卑怯だ!」って言ってた生き方に、今の人は感動するんですよ。
今の自分たちにとっては、卑怯な生き方が当たり前に、空気みたいになってるんだと思います。

Q:そういう所が先生は気になったんですね。
多くの人が「泣けた!」「感動した!」と言っていますが(笑)

A:全部、女性原理で作られた映画ですよ。
悪く言えば、文明を崩す力です。
一つ例を挙げましょうか?

Q:はい、お願いします。

A:クライマックスの一つで、特攻隊員の一人が、出撃前日に逃走するんですよ。
すぐ捕まるんですけどね。

それで涙ながらに事情を話して。
「許嫁が空爆で家族を全員亡くした」から「彼女を残して死ねない!」「見逃してくれ!」と。

Q:はい・・・。

A:同僚に「恥ずかしくないのかっ!」って詰め寄られるんですけど、次が感動のシーンです。

主人公が「生きるのに恥ずかしいことなんかないっ!」って涙ながらの絶叫です。
そして、逃がす。

Q:ここで先生はどう思われたんですか?

A:「あぁ、これが今の時代か」と思いました(笑)
恥がなくなったから、生き方に美しさも何もないですもんね。
無様だろうが、誰かを犠牲にしようが、裏切ようが、自分と許嫁が生きてたらいい

Q:「何よりも命が大事」ってよく聞きますよね。

A:正確には、何よりも「自分の命」が大事ですよ。
まあ映画よりも、福山雅治の歌の方が良かったです。

「好きなんだ♪ 君をまだ好きなまま
飛び発つ僕はバカだね
でも征かなきゃ」

これが男性原理ですよ。

教育だと、嫌でも何でも、自分のやらなきゃいかん事をさせるのが「男性原理」の教育です。

Q:ありがとうございました~!(笑)

個性教育の光と影 ~窓ぎわのトットちゃん~

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

新年一発目は、映画で教育を語るの第9弾で、今上映中の『窓ぎわのトットちゃん』です。


戦後最大のベストセラー

『窓ぎわのトットちゃん』は、黒柳徹子が幼少期に体験した「自由教育」をテーマにした映画です。

原作は戦後最大のベストセラーとされ、我が家にも一冊ありました。
(私は読んでいませんが)

世間の評価が「かなり高い」映画で、私もそこそこ楽しめましたが・・・どうしても好きになれませんでした (-ω-)/

この映画でみんなが絶賛する個性教育は、子供を「社会で生きにくくした面」も強かったと思います。

そして今、日本に定着しつつある「自由教育」は、本来の厳しさを抜き去った、かなり「アンバランス」な自由教育なのではないでしょうか。


理想の学校!?

目黒区自由が丘にあった私立の小学校(&幼稚園)「トモエ学園」が、この映画の舞台です。

戦前から戦時中のあの時代に、徹底した「個性尊重」の教育を行った「理想の学校」だと絶賛される学校です。

しかし、どんな教育にも「両面」があり、個性教育の「負の面」を見ることも大事でしょう。

「個性教育の負の面」とは、学校(家庭)が子供の個性を尊重して、子供の個性に合わせすぎるほど、子供は社会で生きづらくなります。

なぜなら、社会は学校ほど個性を尊重したり、個性に合わせてくれないからです。
戦前なら、尚更だったでしょう。

これは「今」にも通じる話で、学校や家庭で、あまりにも社会の現実とかけ離れた「子供に優しい教育」を行うと、子供は社会を「めちゃくちゃ不合理で厳しいもの」だと感じてしまいます。


人間的な自由か、動物の自由か

イギリスのパブリックスクールを描いた「自由と規律」という本があります。

エリート教育としては史上最も成功したとされる「ジェントルマン教育」の現場を描いた本です。

自由と名誉を重んじるジェントルマンたちは、一体どのようにして生み出されたのか?

その教育現場は・・・
・途轍もない鍛錬
・途轍もない規律
・途轍もない学習量


お手軽な自由教育

エリート教育と大衆教育の違いはありますが、日本の自由教育は、あまりにも「お手軽すぎる」のではと思います。

一方の自由が「努力」して「獲得」するものなのに対し、もう一方は「生まれつき備わっているもの」に価値を置いています。

一方が「膨大の読書と思索の上に」自由な意見を述べるのに対し、もう一方の自由な意見は・・・。

一方を規律に根差した「人間的で価値の高い自由」とすれば、もう一方は本能に根差した「動物的で価値の低い自由」とも言えそうです。

自由教育の「自由」にも、いろいろな「自由」が混在しているのです。


今で言えば、鍛錬教育

私は日本的な自由教育の風潮は嫌いですが、『窓ぎわのトットちゃん』のモデルとなったトモエ学園は勇気があると思います。

なぜなら、「戦時中に」自由教育を実践したからです。
教育の内容は別にして、
周りに批判されながらも、信念を通した点は共感します。

今、自由教育をやったら評価されるので、勇気なんかいりませんよね?

戦時中のトモエ学園と同じ価値のある勇気は、今の時代では、「子供を鍛錬する教育」を実践することでしょう。

それにしても、映画を観た後でも、黒柳徹子には興味を持てない!(笑)