腰骨を立てる

「家庭の躾」の第13弾です。

前々回「育ちの良い子供、悪い子供」で、「やるべきことをやる気が出ないからできない」という子供は、「育ちが悪い」と書きました。

また前回「家庭学習を習慣化するための具体的手順」で、「勉強すること」を、やる気に関係のない「生活習慣」とする手順を書きました。

今回は「勉強のやる気が出ない」「家庭学習が続かない」といった子供に、効果抜群の方法を書きます。

明治以来、最大の教育者の一人とされる森信三の「躾の三原則」は、何度もこのページで取り上げてきました。

その「躾の三原則」には含まれていませんが、森が「教育の要諦」とまで言った「家庭の躾」の根幹が、今回の主題となります。


「国民教育の父」と言われる森が、「自分がここまで来れたのは・・・」と述べた文章が、森信三全集に収められています。

 


腰骨を立て続けたおかげだ

 

私はこの言葉に出合った時、驚きました。

日本の教育史に残る偉人を作り上げた根本が、「学問」ではなく、「腰骨を立てる」ことだと言っているのです。

森の人生は、自伝を読む限り苦難に満ちたものでしたが、70才頃の写真を見ると、その立ち姿の爽やかさ、美しさに見惚れてしまいます。

「腰骨を立てる」ことで、一本芯の通った「貫く」生き方ができると、森は述べたかったのではないでしょうか。


学習に関しても、「腰骨を立てる」ことで、「理解力」や「集中力」が増すと、森は述べています。

また、その多くの門下生によって「立腰教育」が実践され、その効果が実証されています。

「心身未分離」の子供にとって、「心を整える」ためには、「姿勢を整える」ことから始めなければなりません。

つまり、肘をつき腰をグニャッと曲げて、ダルそうな姿勢で勉強するから、勉強がダルく感じるのです。

そんな子供に「やる気云々」の話をしても無駄です。
ダルそうな姿勢を取り続ける限り、その子にとって勉強は一生「ダルいもの」であり続けます。

まずは「腰骨を立てて勉強する」ことから、指導を始めるべきです。

 

 

 

 

 

「家庭学習」を習慣化するための具体的手順

ここに書かれている内容は、この通りにやれば、ほぼすべての家庭で「学習の習慣化」に成功した門外不出!のノウハウです (^^)

ちなみに、ここでの「家庭学習」には、「学校や塾の宿題」は含まれていません。

宿題以外の「自分で課題を決めて行う学習」を「家庭学習」と呼び、その「家庭学習」を習慣化するための「手順と注意点」を以下に書きます。

手順は①~③まであり、注意点は①~⑤まであります。


手順①
「家庭学習」の時間を生活のどこに入れるか、子供と話し合って決める。

(例)
朝食前。
学校から帰ってすぐ。

夕食の前。
夕食後、お風呂に入る前。

注意点①
「家庭学習」を習慣化するために、毎日やることの「前」か「後」に「家庭学習」の時間を作り、毎日同じ時間に勉強します

ここでの原則も「やるべきことが先。やりたいことは後」です。

但(ただ)し、帰宅後、「短い睡眠を取った方が集中できる」場合は、そうしてください。

帰宅後ダラダラ過ごし、やっと「寝る前に勉強を始める習慣」を作ることはお勧めしません。


手順②
自分が伸ばしたい(克服したい)教科を決め、やるべき問題集やテキストを決める。
(分からない場合は、学校や塾で先生のアドバイスをもらうこと)

(例)
前の学年の学校の問題集の復習。
学校や塾のプリントの復習。
書店で買った問題集。

注意点②
一人で勉強して理解できなさそう問題は、最初からやらないこと。
分からんから嫌!」になります。

例えば、数学の「文章問題」や英語の「長文問題」などは、ほとんどの生徒が一人では理解できません。

自信がないなら、そういう問題には最初から手を出すべきではなく、数学の計算問題、英単語、理科や社会などの「暗記系」の勉強を中心に進めましょう。


手順③
その日(次の日)から実行する。

注意点③
勉強する間は、スマホを目の届かない所に置く。

注意点④ ☆最重要☆
腰骨を立てた姿勢で勉強する。

「姿勢と意欲」の関係は、心理学の分野で明らかにされています。

つまり、肘をついたダルそうな姿勢で勉強するから、勉強がダルく感じます。

腰骨を立てた状態は、その人の精神をシャキッとさせます。
腰骨を立てて、ダラダラ勉強することは絶対にできません。

腰骨を立てるだけで、勉強することへの「意欲」や「集中力」がどれくらい増すかを、自分の身で試して実感してください。

(「腰骨を立てる」ことが「しんどい」という子供は、重度の甘ったれです。まずは、食事の時など腰骨を立て続けることから躾けてください)


注意点⑤

最初から大きく狙わないこと。
「今から10ページ解く!」「2時間勉強する!」といった分不相応な考えを持つと必ず失敗します

地球上のものはすべて、止まっているものを動かす時に、最も大きなエネルギーを使います。

一旦動き出したものを動かし続けるのに、大きなエネルギーは要りません。

「家庭学習」を習慣化する過程で、最初の1週間が最大のヤマ場です。

最もエネルギーを使う最初の1週間では、勉強に使うエネルギーを極力下げましょう。

つまり、「今から1ページ」「今から10分間」程度の家庭学習から始めるべきです。

大切なことは、最初の1週間「家庭学習」を続けることです。

最初の1週間を越えたら、次の1週間はだいぶ楽になります。
「10分間」のつもりで勉強を始めたら、勢い余って「30分」も勉強してしまうことだってあるでしょう。

とにかく、最初は「計算問題3問」「5分間」でいいから毎日続けることです!


~まとめ~

手順
①「家庭学習」の時間を生活のどこに入れるか、子供と話し合う。
②やるべきテキストや問題集を決める。
③実行する。

注意点
①毎日、同じ時間に勉強する。
②「理解系」に自信がない場合、「暗記系」の勉強を中心に行う。
③勉強する間は、スマホを別の部屋に置く。
④腰骨を立てて勉強する。☆最重要☆
⑤「1ページ」「10分間」程度の小さな家庭学習から始める。

もし「家庭学習が続かない」場合は、「腰骨を立てる躾(しつけ)」から始めてください!

腰骨を立てるとは、「イスにもたれず」「机に肘をつけず」、背筋をシャンと伸ばす姿勢が「当たり前」になることです。

 

高校受験の「よくある質問」に本音で答えます!

このページでは、「高校受験」に関する「よくある質問」と「その答え」を掲載しています。

佐賀県版です。他県のことは分かりません

Q1:ボーダーラインって何ですか?
Q2:〇〇高校のボーダーラインって、こんなに低いんですか?
Q3:私、〇〇高校に受かりますか?
Q4:学校で聞いたボーダーラインよりも低いんですが、どちらが実情に近いんでしょうか?
Q5:点数が足りないので、志望校を変えるか迷っています。


Q1:ボーダーラインって何ですか?

A1:
ボーダーラインとは、入試の「合格最低点」のことです。
その点数以下だったら「不合格」、それ以上だったら「合格」というギリギリのラインのことを「ボーダーライン」と言います。


Q2:〇〇高校のボーダーラインって、こんなに低いんですか?

A2:
各高校のボーダーラインは、年々下がっています。

少子化の影響もあり、県立高校の倍率は10年前と比べても、だいぶ下がってきました。

倍率が下がることにより、ボーダーラインも下がってきていると考えられます。

また、今年(2020年度)は特に受験生の学力レベルが低いと感じます。

この10年間で、「ボーダーライン」は最も低い年度になりそうです。

そして逆に言えば、受験生にとっては、またとないチャンスの年とも言えます!


Q3:私、〇〇高校に受かりますか?

A3:
入試の点数が「ボーダーライン=合格最低点」を越えたら合格しますし、それ以下だと不合格となります。

また、学校の通知表が悪い(=休みや遅刻が多いなど)生徒は、ボーダーラインの+10点~を目安にしてください。

3年生になってからの「実力テスト」で、常にボーダーラインの30点以上取っている生徒は、「合格安全圏」にいると言えます。

常にボーダーラインより10点以上取っている生徒も、合格する可能性が高いです。

ボーダーラインを「越えたり越えなかったり」という生徒は、今の段階で「合格する」とは言い切れません。

入試までの残りの日々で、「常にボーダーラインを越える」まで学力をつける必要があります。

(学校の実力テストはあと2~3回しかありませんが、入試の過去問を使って「実力判定」ができます)

ボーダーラインを常に下回っている生徒は、今の段階(成績)で合格する可能性は低いです。

今までと同じ調子で入試まで勉強しても、絶対に合格はできません

先生や友達に「やり方」を聞いて工夫したり、より学習時間を増やす必要があります。


Q4:学校で聞いたボーダーラインよりも低いんですが、どちらが実情に近いんでしょうか?

A4:
こちらのボーダーラインが、より実情に近いと思います

学校の先生方は「絶対安全=絶対不合格者を出さない」ような進路指導をされる方が、最近は特に増えてきたように思います。


Q5:点数が足りないので、志望校を変えるか迷っています。

A5:
本当にその高校に行きたいなら、2月末の「最終志願変更」まで粘るべきです。

12月の三者面談で、点数の足りていない生徒の多くが「志望校変更」を勧められます。

学校のその「絶対安全指導」によって、「ボーダーライン以下」の生徒だけでなく、「ボーダーラインぎりぎり」の生徒も多く「志望校変更」をします。

その三者面談後の倍率発表が12月(1回目)。
そして2月の中旬にも倍率の発表(2回目)があります。

その倍率を見て、最終(3回目)の「志願変更」を行います。

その間、受験のプレッシャーに耐えきれない生徒がどんどん志望校を変更していきます。

私のアドバイスは、もし本当にその高校に行きたいなら、2月末(3回目)まで粘るべきです。

(厳しいことを言いますが、やることもやらずに「望みだけ大きい」生徒は、神風など絶対に吹かないので、早く志望校を下げることを勧めます(^^)/)

 

躾の大原則とは

「若い先生たちへ」「家庭の躾」の第10弾です。

前々回、前回と「大人社会と子供社会のギャップ(上)(下)」で、それらの社会に働く「原理の違い」について書きました。

「自分のやりたいことをやっていればいい」優しい「子供社会」に対して、「役目を果たす」ことを求められる厳しい「大人社会」という構図でした。

将来、子供が「一人前の社会人」として活躍できるような教育が「普通の教育」で、子供が大人社会に適応できない教育「反教育」だと、そろそろ私たちは気づかなければなりません。

その「反教育」の代表が、今、猛威を振るう「甘やかし」です。

「甘やかし」とは、厳しい「大人社会」の原理に子供を近づけようとせず、甘い「子供社会」のルールをいつまでも許すことです。

そういう「甘い親」「甘い先生」が、現代では「良い親」「良い先生」とされていますが、社会人になるまで「甘い子供社会のルール」で育てられた人間は、その後「厳しい大人社会」をどう生きていくでしょうか。


これまで何度も取り上げてきた、教育者 森信三が提唱した躾の三原則は次の通りです。

一 自分から挨拶をする
二 「はい」と返事をする
三 靴を脱ぐ時踵(かかと)を揃え、席を立つ時イスを入れる

その他にも、森は「朝、親に起こされずに、自分で起きる」ことも大切な躾だと考えていました。

また令和の女子の躾として、私は「自分のことを呼ぶ時、名前で呼ばず私と呼ぶ」も加えたいと思います。

他にも「躾」を細かく分類すれば何十~何百にもなりますが、何十~何百もある「躾」というのは、「実際的」ではありません。

今回は、それらの「躾」をすべて包括し、すべての土台となる最も重要な原則について書きます。

その最も重要な原則は、「大人社会」と「子供社会」を繋ぐとなるものでもあり、50年以上前までの日本では「常識」とされていました。


 


「やるべきこと」が先。「やりたいこと」は後。

 

これが子供の「躾」における最も重要な原則であり、すべての「躾」の原則は、この大原則が淵源となっています。

また、この大原則は、社会人としての原則でもあります。

「大人社会」の原理である「役目を果たす」とは、自分の「やりたいこと」よりも、「やるべきこと」を優先することです。

「大人社会」にそういう原理が働いている以上、その準備期間である「子供社会」も「やるべきことが先。やりたいことは後」に近づけ、そういう思考習慣を身につけさせた方が、子供は将来「楽」に生きられます。

要するに「甘やかし」とは、子供が「やること」もやらずに、「やりたいこと」だけやるのを「許す」ことです。

昔の「親の小言」を、令和の子供にも言ってやりましょう。

 

 

やることをやってから、
やりたいことをやれ!
と。