ちょっと厳しいコミュニケーション論④

Q:部活の強豪校出身の生徒は、実学をしっかり受けたから、社会で活躍する人が多いのかもしれませんね。

A:そうかもしれないですね。
でもケジメをつけさせるとか、立場を弁えさせるっていうのが教育の根本なので、強豪校だけじゃなくて、当たり前の普通の教育だと思いますよ。

Q:今普通の学校でそれをやると批判されそうですね。

A:学校のことなんか知りません(笑)
やりたい人だけ、そうしたらいいと思います。
でも強豪校出身の生徒が社会で活躍している人が多いんでしょ?
それで甘い環境で育った子供は「役に立たん」と言われてると。

Q:はい。甘い環境の度合いにもよるでしょうけど。

A:「甘い」って全部子供に合わせてる状態ですよ。
子供が何をしても許されるし、
わがままに生きてても暖かい目で、親とか先生が見守っている状態です。

Q:大石先生が「子供中心主義の悪い面」って言われている部分ですね。

A:そうです。まあ、分かる人だけが分かればいいと思います。

Q:そんな投げやりな!

A:いえいえ。今ってファシズムみたいな世の中じゃないですか?

Q:えっ!?ファシズムですか・・・?

A:「平等」とか「自由」とか「優しさ」に反することって言っちゃいけない空気があるでしょ?
私はボンボン言ってますけど (^^)/

Q:・・・。

A:例えば「平等」が大事って当たり前じゃないですか。
でも男と女って「性差」があるでしょ。
親と子供も、先生と生徒も「立場の違い」があるんですよ。
それぞれ役目を果たすために「立場の違い」「性別の違い」があるんですよ。

Q:今はその違いもなくして「全部平等」っていう流れですね。

A:役目を果たすための「立場」「上下関係」なので、立場をなくしたら役目を果たせなくなります。
今の学校とか家庭って、そうなっている所が多いと思いますよ。
今の時代だと分かりにくいと思いますけど「立場」はなくしたらダメ。
立場は「平等じゃない」ってことが歴史的な真実だと思います。

 

ちょっと厳しいコミュニケーション論③

Q:前回のお話で「自分の立場を知ることが大事だ」ということでしたが、塾ではその辺りはどのように指導されているんですか?

A:先生と生徒の「立場の違い」をハッキリさせています。
私は元々生徒と楽しくするのが好きなんですが、一線を超えないことですね。
要は友達にならない。なあなあの馴れ合いにはならないことです。

Q:なんか新鮮な意見です。今はその逆で、生徒と友達になりたがってる先生が多い印象です。また、そういう先生が親しみやすくて人気がありますよね。

A:それはその先生の自由ですけどね。
でもやっぱり生徒と友達になってしまったら教育はできないですよ。
勉強を教えるくらいなら友達先生でもできますよ。
ただし勉強を教えるって、教育の表面上の一部分でしょ。

Q:生徒と「なあなあの馴れ合いにならない」ということで、具体的には友達先生とどんな指導の違いがありますか?

A:普段楽しく会話している生徒でも、例えばその生徒が遅刻するとしますよね。
悪びれた様子もなく、遅刻したことを謝りもしなかったら、叱ります。

Q:普段仲良くされていてもですか?

A:当然です。
仲良くって友達同士の仲良しじゃないですから。
あとは当然ですけど、敬語で話させるとか。

Q:先生と生徒のケジメをしっかりつけられてるんですね。

A:まあそういうことです。
それで、これが教育の根本だってことを言いたいんですよ。
自分で言ったらダメですけど「実学中の実学」だと思います。

Q:えっどういうことですか?

A:塾の生徒は、親とも友達とも違う今まで会った人とは違う「塾の先生」という異質な存在と出会うわけじゃないですか。
きちんと挨拶しないといけない。
敬語で話さないといけない。
ある意味自分で自分を正さないといけない存在なんですよ。
そうしないと叱られるから。

Q:そういう大人って今いませんもんね。

A:それで小・中学生の頃にこういう環境を経験した子供は、例えば高校生になってバイトした時に、店長さんにどういう風に接したらいいか分かりますよ。

Q:「大石先生の時のように接したらいいのかな」って思えますね。

A:今、上司を上司とも思わない部下が多いらしいんですよ。
「今の新人は上司も取引先もみんな友達だと思ってる」って(笑)
そんな20歳を超えた人間を教育し直すって大変でしょ。

Q:頭が痛くなりそうですね。でも、それも上司=大石先生で対応できそうですね。

A:それが実学中の実学って言った意味です。
そんなこと、もう社会人になったら教えられない土台の土台の部分じゃないですか。
それを小・中学生のうちに経験するのがどれほど大切かってことです。

 

ちょっと厳しいコミュニケーション論②

Q:「コミュニケーション力と礼儀の関係性」についてお聞きしたいんですが。

A:コミュニケーション力の根本が礼儀です。
コミュニケーション力っていうと学校で「プレゼン」をさせたり、「自分の意見」を述べさせたりしてますけど、大きな間違いだと思います。

Q:コミュニケーションを「プレゼン」や「意見の主張」と捉えるのは間違いであると・・・。

A:順番が違います。まずは礼儀です。
よく考えてください。
家庭や学校で礼儀を身につけさせずに、自分の意見を言うように育てられますよね?

Q:「自分の意見を言えるのが大事」って育てられますね。

A:そうやって育った子供が社会人になったら、どうなると思いますか?
礼儀がなってないくせに、自分の意見を主張する新人です。

Q:なるほど。そういう若手が増えてきたと聞いたことがあります。

A:そういう人間って社内で嫌われるでしょ?

Q:まあやりにくくなるでしょうね・・・。

A:そういう若手に限って「上司が分かってくれない」とか「会社の人間関係が」とか言って辞めていくそうですよ。

Q:本当によくありがちな話ですよね。

A:意見を主張させる授業が悪いって言ってるんじゃないですよ。
そういう授業をするなら、まずは礼儀を教えるのが先だっていう話です。
そうしないと生徒に「人間として悪い癖」がついてしまいます。
礼儀知らずの主張屋です。

Q:そう考えると、知らず知らず「礼儀知らずの主張屋」を育てている親御さんとか学校の先生って多いのかもしれませんね。

A:みんな「善意」でそうしていると思います。
今は礼儀とかうるさいことは言わないのが「良い親」「良い先生」で、子供の意見を言わせて、それを尊重するのが善でしょ。

Q:「良い親」や「良い先生」と世間で言われている人達が
「良い教育」をしたら、「礼儀知らずの主張屋」を育ててしまう可能性もあるってことですね。
なんだか怖いですね。

A:今は時代が本当に悪いので、子供の教育も難しいと思います。

Q:コミュニケーションに話を戻しますと、私は「自分が話す」よりも「聴く」ことがコミュニケーションで大切だと思ってました。

A:カウンセリングやコーチングを学ばれた方は、そう言われますね。
確かに自分が話す訓練ばかりせずに、聴く訓練があってもいいかもしれません。
自分の意見をどう主張するかも大切ですが、相手の意見をどう聴くかも同じくらい大切にされていいと思います。

Q:最初に「コミュニケーション力の根本は礼儀だ」と言われましたが、詳しく聞かせてもらえますか?

A:礼儀って「余計な不幸」を防いでくれるものです。
人間のストレスってほとんど人間関係って言われているでしょ。
礼儀が身についている人間は、その多くを回避できます。

Q:えっ。それはちょっと意外な意見です。

A:人間関係が悪化してストレスになるきっかけって、いろんな人を見てきて、私の経験でも、礼儀ですよ。
根本は弁(わきま)えですね。
弁えがない場合に、相手を不快にさせます。

Q:えと言われると何だか難しそうに感じます。

A:もう完全に死語になってますもん!
簡単に言うと、弁えって「自分の立場を知る」ことです。
自分の立場が分かれば、相手に対する振る舞い方も分かります。

Q:「立場」ってどういうことですか?

A:親に対して「子」の立場とか。
先輩に対して「後輩」、でも下級生に対しては「先輩」とか。
上司に対して「部下」とかです。
それで立場が上の人間には、上の人間に対する接し方をしろってことです。

Q:今はみんな平等だという世の中ですもんね。

それも綺麗事だと思います。
人間としては平等かもしれませんが、組織って「立場」があって「役割分担」があるものなので、立場は当然平等じゃないですよ。

組織の立場をなくして平等にしたらどうなるかっていうと、今の学校みたいに滅茶苦茶になって、先生が自分の役割を果たせなくなります。

 

ちょっと厳しいコミュニケーション論①

こんにちは、Oishi塾の大石です。

今回は、教育の基本でもある「コミュニケーション」ついて、インタビュー形式でお伝えします!


Q:インタビュアー
A:大石

Q:今回から「コミュニケーション力」についてお話を伺います。
よろしくお願いします。

A:よろしくお願いします。

Q:今の時代には珍しく!礼儀をとても熱心に教えられてると聞いたんですが。

A:はい。塾で教えられることって限りがありますけど、できる範囲でやってます。

Q:前からそうされてたんですか?

A:いえ違います。本格的に力を入れ始めたのは、ここ2~3年のことです。

Q:ここ2~3年で何かきっかけがあったんですか?

A:塾に通ってくれる生徒の質が激変したんですよ。
それは6~7年前から感じていたことですけど。

Q:「激変」とはかなり大きな変化だったんでしょうね。

A:初めに言っておきますけど、生徒に責任はないと思います。
親御さんや学校の「育て方の変化」でしょうね。

Q:具体的にどんな風に変わったんですか?

A:表面的なことで言えば、挨拶ができない。言葉で返事ができない。敬語で話せない。

Q:子供からしたら、そういうことって誰も教えてくれないし、そうしなきゃいけない場面がないというか。そうさせる大人がいませんもんね。

A:まさに、その通りです!
みんな「善人」になりましたから。
「うるさいことを言う」大人がいなくなりましたよね。
「うるさいこと」っていうのは、今は耳が痛いことだけど必要なことなんですよ。
教育って子供からすれば「耳が痛くなること」ですから。

Q:学校の先生も「綺麗な耳障りの良いこと」を言われる方が増えてきたと感じます。

A:「綺麗な言葉」でも、それを実現するための方法論があればいいんですよ。
ただし、方法論のない綺麗な言葉は「綺麗事」といって毒にも薬にもなりません。

Q:さっき「表面的には今の子供は挨拶や返事ができなくなった」
って言われてましたけど、「表面的」ってどういう意味ですか?

A:表面に出ている内側の部分で、子供にそうさせているものがあるんですよ。
これは子供が悪いわけではないですけど。
要は「自分の立場が分かってない」ってことです。
周りの育て方で、自分の立場が「分からないようにさせられてしまった」んだと思います。

Q:自分の立場が分からないから、挨拶や返事ができない・・・。

A:そうです。
どこの世界にですね、産んでくれた親よりも子供の方が偉いっていう家庭があるのかって。
教えてもらっている子供が、教えている先生よりも偉いとか。
「親や先生は偉そうにしろ」って言ってるんじゃないですよ。
子供が親や先生よりも偉そうにしているのは、おかしいって言ってるんですよ。

Q:今は昔の家族みたいに子供がたくさんいないので、一人一人が大切にされるんでしょうね。

A:大切にされ過ぎですよ!(笑)
だから子供が勘違いして、自分の立場が分からなくなってます。

大切にするのはもちろんいいことですよ。
ただねぇ・・・。
50年前の子供と今の子供を比べて、人間としてどっちがしっかりしてるかってことです。
しっかりした子供に育てるのが教育なので、昔の教育の方が完全ではなかったにせよ、今よりは良かったと私は思います。

Q:昔の父親や先生は怖かったって聞きますもんね。

A:やっぱり教育って「父性」と「母性」と両方必要なんだと思います。
今は「母性」だけでしょ。
バランスが偏ってますよ。
優しさしかない時代だから、子供も優しさを認識できないですもんね。
今の子供って親切にしてもらって当たり前だと思ってる子が多いですよ。